あとがき

 ここまでお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました。
 作品連載期間、約1年。もっとも感想を頂けた作品であります。
 この最後は「彼女の認識」あたりに決まっていたのですが、まさかここまで長くなるとは思いもよらず。短編で出していた当初の影は欠片もありません。題名を決めるのにいつも四苦八苦し、題名さえなければもっと早く出せたのではないかと思う話も多々。
 男のような女と、女のような男のラブコメを書こうと思ったのが始まり。
 いくら女のような男といっても、やっぱり剣は相当使えなくちゃという作者の偏見で初期設定が決まりました。婚約話から始まり、自分ではどうしようもない婚約というのはやはり貴族のお偉いさんよねと彼は無難な伯爵に決定。そしてさらに、かなりの剣の使い手なら家柄もそれなりのものだろうと、伯爵の中でも軍事経験が豊富そうな辺境伯に決定されました。
 女に間違われるほど可憐な容貌だったら、やはり背もそれなりに低くて気弱そうでおどおどしてて世間慣れしてなさそうね。よし、セイの外見は金髪。金髪なら青い目ってことで私の好きな紫紺にしてしまおう。
 そんな偏見を90%ほどつめこんで形成された彼は、のちのち意外にも急成長を果たしてディアを翻弄してくれました。
 ラブを書くことがかなり恥ずかしかった作者でしたが、セイの押しに作者も翻弄されていたようです。甘々すぎて読み返すのが困難だった最初が嘘のように、今ではベタ甘ですね。これ以上は危険です。暴走して永久お蔵入りになった場面もあります。忘れて下さい。
 この最後の展開は早い段階で決まっていたんですが、その間に彼らの絆をもっと深めておかないとセイはディアを捜しだすことも無理だろうとつめこみました。高速展開に作者もビックリ。
 本編以外のところでもかなり小細工してましたが、その努力は果たして報われたんでしょうか。
 最後、ガラフを出すつもりでした。が、奴の登場はフェレーリアに掻っ攫われてボツになりました。存在すら忘れられているであろう彼が、実は好きです。
 因みにボツになったシーンはこんなものでした。
 NG大賞、みたいな感じで↓


「面会人? 私にですか?」
 宿の主人に告げられ、町なかを一通り探索し終えたセイは首を傾げた。
 この町にはシャンレンとノーク以外の知り合いなどいなかったはずだ。
「あの、本当に私に?」
「ああそうだよ。セイ=ラミアス。あんたのことだろう?」
 問われて頷いた。宿の記帳にも本名を記したため、誤魔化すことはできない。しかしやはり心当たりはない。
「領主の屋敷で待ってる、と伝言を頼まれているよ。大層な御仁と知り合いなんだなぁ、あんた」
「いえ……」
 セイはかぶりを振りながら思い出していた。屋敷とは、夏にディアと二人で遊びに行った、あの屋敷だろう。
 ――そんなこと、あるわけないけど。
 セイは期待してしまう。ディアの顔を思い浮かべ、はやる心を抑えながらそのまま外へ飛び出した。屋敷を目指し、そして。
「――なんだ。ガラフか」
 領主の屋敷で待っていたのは、ここから程近い領主の息子、ガラフだった。
 彼の姿を目にした途端、セイは落胆を隠せず呟いた。
「なんだその言い草は! 久方ぶりの友にかける言葉か!?」
「いつ貴方が私の友になったんです」
 容赦ない一言にガラフは言葉をつまらせたが、一瞬にして聞き流すことにしたらしい。


 ↑と、こんな感じで。このまま忘れられていくのはあまりにも可哀想だったので、こんな所で敗者復活。
 さて、『彼女と彼の必然』本編はここで打ち止めです。番外編としてはもう少しエピソードを書き足すつもりです。現段階で考えているのが二つありますが、それ以降は気紛れにいきたいと思います。
 まだまだ未熟でいろいろ書き足りない、説明不足は否めませんが、ここまでお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございます。大好きです。さり気なく告白しつつ、あとがきを終わらせていただきます。