第九章 【六】

 ジュラウンを気遣いながら森を進んでいた李苑の瞳に、城の頭角が入り込んできた。李苑にしてみれば、初めてここへ現れてから今日まで数ヶ月も経っているような感覚だった。
 闇に沈みかける城には光がポツポツと灯されていたが、どれも先程ガラディアで見た篝火などではない、白い光だった。あれがザーイの言う『宝珠による光』なのだろうと、漠然と感じた。
「おかしいですね」
「警備が厳重じゃないって事?」
 横を歩いていたジュラウンの呟きに、李苑も「確かにおかしい」と感じながら敢えて首を傾げて見せた。
 兵の一人くらい居そうなものだが、その姿は全く見られない。今もザーイが周囲に警戒しているのだが、それが無駄に思えるほど静かだ。
「宝珠による警備は厳重なのですが、やはり人の出がないように思えます」
 考え込むように顎へと手を当てるジュラウンの背後でザーイが声を上げた。
「なぁ、忍び込むなんてやらなくても、正面から面会求めればいいだろう」
「何言ってるのっ!」
 宝珠に関わる事はもう明白なのだから、イフリートの王として正式に訊ねればいいだろうと。ザーイはそう言うのだが、李苑は険しい形相で思い切り叫んだ。
「ヨールが言ってたでしょう、ランル達はサウスを取り戻しに乗り込んで行ったってっ!」
「だから何だよ」
「ランル達が忍び込んで行ってるなら、私たちだって忍び込むのが当然でしょう」
「何をどうしたら『当然』になるんだよっ?」
「ランルたちの行動を真似てったら追いつくじゃない」
 どの辺りでそのような自信をもてるのか。誇らしげに胸を張る李苑にザーイは頭痛を引き起こしかけ、何を返そうかと詰まり。詰まったが、結局さじを投げた。何を言っても無駄なようだと思ったのかもしれない。
「へーへー」
 投げやりに「俺らは一応政府の要人なんですけど」と呟いてみたが、それは李苑の耳には届かなかった。
 うんざりして溜息をつきかけたザーイは、ふと。
「――待て。今、なんて言った?」
 それまでとは打って変わり、真剣なザーイの表情。今までも結構真剣だったけれど、今のそれは種類が違う気がした。
 李苑は微かに眉を寄せながら「何ってなにさ」と聞き返す。
「『サウス』を取り戻す?」
 けれどザーイはただ確認の為に再度聞いただけであり、言葉は既に頭にある。李苑の言葉を復唱し、ザーイの様子を窺っていたジュラウンも微かに瞳を見開かせた。分からないのは李苑のみだ。
「サウスって、サラン皇女の近衛騎士のか?」
「ああもう、紛らわしいから『ランル』で統一してよ! 『サラン皇女』って言われたって、一瞬誰だか分かんなかったじゃないっ!」
 李苑の抗議はザーイの耳には入っておらず、ザーイとジュラウンは真剣な顔で二人の世界へと入り込んでしまったようだ。
「セフダニア王がサウスを拘束してるっていうのか?」
「であれば、以前からの疑問は確定――という事でしょうか」
 立ち止まった彼らに合わせて李苑も止まり、突然会議モードへと移行した彼らに溜息を落とした。彼らにしか分からない話らしい。
「私はさっさと先に進みたいんですけどー」
 唇を尖らせてみるが相手にされない。李苑は頬を膨らませて城を見上げ、『一人で行ったら怒られるかな』と眉を寄せる。
 ――この城の中に、セフダニアの王がいるのだ。ランルや自分たちに、人権無視の限りを尽くしたような悪趣味攻撃を仕掛けてきた張本人が。絶対絶対、殴ってやらなければ気が済まない。人が折角致命傷を与えないように費やした努力を無に帰して。響希だって、敵に対しては珍しく気遣いを見せていたのに。大体ここの王って、行動が破綻してるのよ。世界支えてるっていう超大事な宝珠を手にして浮かれてるんじゃないの? 他国の皇女の近衛なんか攫ったら大問題に決まってるじゃない。サウスに一目惚れしたとかっていうならまた話は別なんだろうけど……ところでここの王様って性別は何。
 怒りの独白は結局いつもの通り横道に逸れ、怒りは疑問に変わっていく。
 李苑は一度大きくかぶりを振り、頬にかかった栗色の髪を軽く払った。
 ――そう言えば髪ゴム忘れてた。今はまだ別に邪魔じゃないけど、勢い良く行動するってなると邪魔なんだよね。うーん、しばらく三つ編みにしてなかったからストレートに戻ってきたぞ。朝に風呂入ったし余計に跡が取れちゃった。
 いい加減独白にも飽きてきた李苑はザーイたちを睨んだが、彼らは全く気付かない。
「もうっ。早くしないと響希たちが先に行っちゃうかもしれないじゃ――」
 怒鳴ろうとした李苑は、ずっと遠くで何かが動く影を見た気がした。もしやようやく敵のお出ましかと緊張するが、目を凝らした李苑は別の意味で緊張した。
 李苑の視力は野生児並だ。以前響希に「お前はモンゴル人だろう」と呆れられるほど良い視力を誇っている。だから、見間違える筈は無い。
 響希と翠沙。
 李苑には全く気付かぬ様子で何かを話し合い、城を見上げている。
 数日振りに見る彼女たちの姿だ。李苑が最後に覚えてる声は、常軌を逸して正気を失ったような物だったので、今こうして普段どおりの彼女たちを見て浮かぶ嬉しさは抑えきれない。
 ――良かった、無事だ、チャンと立ってる歩いてる、いつも通り、元気そうだ。
 そんな言葉が浮かぶごとに実感も湧いてくる。
 響希たちは李苑に背を向けたまま木々の闇へと姿を消したが、李苑はぼけたように「自分で歩けるくらい元気なんだぁ」と感動している。けれどやはり、ようやくハッと気がついた。
 呑気に見送ってる場合じゃない、追いかけなければ。
 李苑は慌てて走り出し、響希たちの影を直ぐに見つける。急いで近くまで走り寄り、木の影に身を隠す。再会の感動で高まる鼓動。
 ――よし!
 李苑に気付かず歩いてくる響希たちに狙いを定め、李苑はその場から一足飛びに響希の間合いに飛び込んだ。
「なんだっ?」
 突然現れた影が何か分からず響希は、翠沙をその場から突き飛ばした。遅れて剣を抜き出して、躊躇わず地面近くに転んだ李苑の影に向けて突き出したけれど。
「待った!」
 耳慣れたその声に、響希は突き出そうとした剣を止めた。今一度その影を見れば、それは。
「はーい、響希、久しぶり」
 ふざけた笑顔でふざけた事を抜かす李苑に、響希は問答無用で、止めていた剣を突き出した。
「だぁ! 何すんの!」
 紙一重で避けて李苑は叫ぶ。響希は無言で剣を振るい続け、鉄面皮な無表情を見せる響希に李苑は必死で逃げ続けた。
「リオンッ?」
 その声はザーイだった。
 響希を追いかけようと走り出した李苑には流石に気付き、追いかけてきていたのだろう。そして響希に斬りかかられている李苑を見て、目を見開く。
「反撃ぐらいしろよっ!」
「だ、ザーイ待ったっ!」
 本気で剣を抜き放ち、響希へと振りかざすザーイ。気付いた李苑は止めようと声を上げたが既に遅い。ザーイは響希に斬りかかり、響希はそれを剣で受け止める。
 上から斬りかかったザーイに対し、頭上で翳すようにして受け止めた響希はその重さに舌打ちした。一度その剣を押し返し、彼の間合いに入らぬよう後方へと跳ぶ。そしてザーイを一瞥し、興味を失ったように視線を剣へと落として剣を鞘へ戻した。
「――よくよく人を巻き込む奴だな、相変わらず」
「あ、やっぱり? 使えるものは猫の手でも使えっていう諺が無かったっけ」
「知るか」
 李苑と響希に流れる雰囲気に、ザーイは戸惑いながらもまだ敵意を放って警戒している。響希が面白く無さそうにザーイを睨んだ。
 二人が並ぶと圧巻である。
「まったく響希、もう少し安全に避難させて欲しいわ」
 茂みへと突き飛ばされていた翠沙が口を尖らせながら顔を出した。砕けた雰囲気なのは、既に李苑がその場にいると知っているからだ。李苑の声は結構響く。翠沙は李苑の無事な姿を確認すると微笑み、近づいて抱き締める。
「お帰り、李苑」
 翠沙が現れた反対方向からは丁度ジュラウンが追いついた所で姿を見せ、その場の光景に目を瞠った。全く状況が掴めていないザーイと二人で顔を見合わせたりしている。
「本当に心配したのよ、私も響希も。無事で本当に良かったわ」
「うん――ごめんね」
 翠沙の肩越しに響希を見た李苑は、そこで声も無く笑っている響希を見て目を見開いた。
 滅多に見られない優しい響希の表情だ。その事に今更実感が湧いてくる。私はここへ帰ってくることが出来たのだ、と。
 翠沙をきつく抱き返し、その肩に顔をうずめて唇を噛み締めた。
「ただいま」

* * *

「こっちがザーイで、ジュンね。あの時私を助けてくれてたんだって」
「他人事かよ、おい」
「で、こっちが響希と翠沙」
 感動の再会が終わった後、スッカリ普段と変わらぬ態度で李苑は両手を広げた。向かい合わせになるように顔を突き合わさせ、紹介する。
「子守ごくろうだった。たった数日とはいえ、心の底から同情してやる」
「まてこら響希、今同情される立場なのは私でしょうっ?」
「李苑を助けてくださって、本当にありがとう御座います」
「ねぇランルはっ? ランルは一緒じゃないのっ?」
 まとまりも何もない李苑たちだった。翠沙が丁寧にお辞儀をする合間に李苑は周囲を見渡してみるが、ランルの姿が見当たらない。
 その言葉に翠沙と響希は一瞬ジュラウンたちを見やり、その視線の意味に気付いたジュラウンが微笑んだ。
「安心してください、ここで見聞した事は他言しませんよ。私たちは国としてではなく、個人としてリオンをここまで送ってきたのです」
 翠沙は安堵どころか苦笑を浮かべた。
 この雑多な気配が満ちる森の中で、遠くにいるならまだしも、こう近くへと寄られてまでジュラウンの正体に気が付かない翠沙ではない。
 ランルも、この目の前の人物も、どうしてこうも国を蔑ろにするのだろうと、笑いながら軽く首を振る。
「ランルは先に中に入ったぜ。俺らは外で兵を出来る限り減らし、陽動した後で城内へ行き、そこで更に暴れて目を向けさせる――という役回りだったんだがな。見回りの姿すらないってんで、さっさと城内に侵入するかと話していた所だ」
 響希は腕組みをしたまま翠沙を見た。その視線を受けて翠沙も頷き、ジュラウンから意識を外して頬に手を当てる。
「そうなの。まさか城内に全ての住民がいるわけではないと思うのだけれど……」
「全ての住民って? そりゃ、住んでたらどこであろうと住民だけど……」
 城に住むのは王侯貴族や兵達だけだという知識の元、李苑は首を傾げた。そんな李苑の反応に響希は眉を寄せ、李苑ではなくザーイを見る。非常に的確な判断と言えた。
「お前ら、どこの道を通ってセフダニアに入った? 町を通ったろう。そこで何も見なかったか」
 李苑の事だから、町の中で馬車を全力疾走させたのかもしれないなと、自分もそうした事など棚に上げて響希は問いかける。流石に生身で走ったなら、住民たちの姿が無い事に気付かなかったわけではないと思うが……。
 響希の問いに、ジュラウンとザーイは顔を見合わせて言葉を濁した。そんな態度に響希の眉が寄せられていく。
「町は通って来なかったよ? 響希たちはどこ通ってきたのさ。初めて通ったあの川じゃないの?」
 翠沙は随分前に感じたセフダニアの結界の揺らぎの原因が、何となく納得出来た気がした。
 聞いた響希は唖然と絶句し、目を丸くして李苑を見て、そして。
「お前……あの川通ってきたのかよっ?」
「だって他の道なんて知らないし、時間かかるって言うし」
「馬鹿かッ!それなら俺らが折角迂回してきたことが全部無駄に終わったじゃねぇか、人の迷惑考えろっ!」
「はっ? 何でいきなり迷惑になるのさっ!」
「結界が張ってあるって言っていただろうランルがッ! お前の空想好きなその頭に『結界』の知識なんて、俺が知りたくも無いくらい詰まってるくせして何でこういうところで働かせないんだよっ!」
「適材適所って言葉知ってるっ?」
「そっくりそのまま返してやるっ!」
 というような喧嘩になだれ込むのはいつもの事で。途中まで聞いていた翠沙は、微かに微笑みを見せながら聞き流す事に決めた。そうしてジュラウンへと向き直る。
「貴方がイフリートの宝珠の管理者、ですね?」
 確信を込めて問う。ジュラウンは軽く目を見開いて翠沙を見返した。宝珠を外へと出してもいないのに何故自分へ問うのか。隣にはザーイもいるのに、それがジュラウンには信じられなかった。
 結界を通ってきたからというだけでだろうか、と更にジュラウンは考えを巡らせる。けれどそれでも、一般には知れ渡っていない専門的な知識がなければ、自分と宝珠を結びつける事は出来ない筈だと否定して。
 そんな事を一瞬で巡らせ、誤魔化すことも出来たがジュラウンはそうしなかった。
 目の前の翠沙を、李苑とはまた違った意味で賢いと思い、そうして何故か、嘘をつくことが躊躇われたのだ。
 自分よりも幼く、体つきも小柄な翠沙に気圧されるようなものを感じて瞠目した。
「――ええ、仰る通りですよ」
 素直に頷いた。隣のザーイは何も言わず、黙ったまま翠沙を見る。
 少し離れた所では李苑と響希がまだ言い争っており、ザーイもそちらに気を取られていた筈だったのだが。ジュラウンと二人の喧嘩漫才を天秤にかけて、ジュラウンに傾くのは当然か。
「今のセフダニアは危険です。宝珠が暴走する一歩手前まで来ている。その証拠に、セフダニアの住民が姿を消しました」
「住民が消えた? 全て……ですか?」
「ええ、国中の住民が」
「移住したとかじゃ……ねぇよな。国中の民が動くとなればそれなりに噂が立つものだろうし」
「暴走、か……」
 先程会ったばかりの翠沙から唐突にそんな事を聞かされて、信じてしまう自分のありようにジュラウンは少なからず驚きながら呟いた。
 どうして、信じられてしまうだろう? そんな事とセフダニアの事が平行に脳裏で渦を巻く。
 それほどに今のセフダニアは不味い事になっているのかと、苦々しく唇を噛んで。
 今のセフダニア王は、亡き友人の忘れ形見だ。それだけでジュラウンは情けをかけてきたつもりだったのだが、このままでは国どころか世界が危ない。
 ジュラウンはザーイを振り返った。
「国を出た理由が出来た。事が宝珠の事になれば、それは私たちの優先事項だ。国の仕事よりもよっぽどね。ガラディアの皇女と共にセフダニアの宝珠の暴走を食い止める――という名目にしておこう。宝珠の気配は、宝珠を持つ者以外には決して分からないものだからね。幾らでも偽装工作が可能だよ、ザーイ」
「……もっともな顔して『お前がその工作しろ』っていう意識がこの上なく明確に伝わってくるんだが」
「以心伝心って奴だね」
「嬉しくねぇ」
 ザーイは脱力し、そしていつの間――いや、ようやく喧嘩が終わったのか。うな垂れたザーイの背中に李苑が力いっぱい平手打ちした。
「何しょぼくれてんの? さっさと中に入ろうよ」
 今まで喧嘩していた李苑はやけに元気がいい。
 響希はどうしたのだろうと視線で捜すと、喧嘩相手は疲れたように首を振っていた。
「構わねぇけどよ……」
 自分がこんなに悩んでいるのが馬鹿らしく思えてきて、ザーイは溜息と共に背筋を伸ばした。
 機嫌よく歩き出そうとした李苑の背中に、今度は響希の声が飛ぶ。
「おい李苑、お前は丸腰か?」
「え? ああ――そうだね」
 響希は軽く笑い、腰に吊っていた剣を李苑に投げ渡した。
「え、でも響希は……」
「こ、れ。誰かさんがいないお陰で、ばっちり制御に集中できた」
「あ、あーーっ? ずるい響希っ!」
 母の形見である宝珠を取り出し、笑う響希。それを見て李苑が絶叫し、目撃したジュラウンはこれ以上無いほど瞠目して。
「なぜ……」
 ランルが一目で分かったように、ジュラウンも易々見抜いてしまう。響希が持つ黒い宝石が、宝珠なのだと。
 イフリート、ガラディア、セフダニア。
 この三つにしか宝珠は存在しなかった筈。遙か昔に滅んだとされる都で、もう一つの宝珠が祭られていたとされていたが、都が崩壊した後は行方が知れなかった。他の宝珠の持ち主達が必死で探したというのにだ。
 宝珠の持ち主でさえ分からぬほどの事だったのだから、暴走しているわけではない。長らく、都と共に滅んだのだろうとされてきたけれど。
「失われた、宝珠……」
 それが何故今ここにあるのだろう? この少女は誰だ、国の要人ではない。そうだ、サラン皇女の近衛とされた者だ。
 脳裏に多数の情報が押し寄せてきて、ジュラウンは目の前が揺れた事に気がついた。慌てて持ち直し足に力を込める。
 凝視するように響希の宝珠を見つめ、そしてまたこちらも、ランルと同じ結論に至るのだ。
 宝珠が力を放っている様子はなく、暴走もしていない。安定しているという事は、響希が認められていることの何よりの証。
 一体どうして現れたのでしょう、今この時に。ガラディアの皇女はこれを知っていて近衛へ任命したのだろうか。
「イフリートの。あれは異界へ渡っていた宝珠なのです」
「異界……?」
 翠沙にはジュラウンの動揺が手に取るように分かった。
「そうです、あれは」
「ジュン、早くってばっ。さっきから呼んでるのにっ!」
 ハッとしてみれば、先へ進んでいた李苑が走って戻ってきていた。彼女はジュラウンの腕を掴んで引っ張りだす。
「翠沙も早くっ! ランルが心配でしょっ」
「お前が心配なのは別の事だろう」
「それも心配だけどランルも心配なのっ。日本に行ってた期間含めると私、響希たちより長く顔合わせて無い事になるんだからっ!」
 茶化した響希に李苑は怒鳴り、怒鳴られた響希は「そんなになるのか」と今更のように気がついた。
 李苑がいなくなって随分長いように感じられていたけれど、実際日数として変換してみれば実感を伴って本当に長いと感じる。宝珠の訓練時間が大部分を占めていた響希だったが、確かに李苑にしてみれば長いはずだ。響希は笑って片手を上げた。