勢いにのって
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3.

 純一に案内されたのは社長室だった。やたらと高級そうな調度品ばかりがある。
 普段なら秘書が座るのだろう受付には誰もいない。受付席を過ぎたところに扉があり、純一はもちろんためらうことなく中に入る。
 途中まで一緒にいた護衛の男は受付に残った。外で待機するのが常らしい。
 純一と共に社長室へ入った若菜はもうため息も出ない。何もかもが自分の想像を超えるものばかりで許容範囲突破中だ。
「さすが社長室……」
「俺の好きに改造させた」
 壁の一部が、先ほど見た廊下のように透けていた。その向こう側には大樹がある。どこからか反射した光が幹を染めていた。金色の光がとてもよく馴染んで見える。
「秘密基地でも造れそうな枝だ」
 横に伸びる枝はとても太い。若菜が乗っても折れることはないだろう。苔が生しているので滑りそうではあるが、気をつければ大丈夫そうだ。若菜の両腕が回りきらないほどの太さだ。
 若菜の呟きを拾った純一は小さく笑う。
「座ったらどうだ? あいつがいつ来るかは分からないぞ」
 純一はパソコンを開いて仕事をしながら促した。素直に従うのは癪だったが、若菜は渋々従う。確かに、時間が分からないのでは仕方がない。
 お客様用のソファは黒い革張りで、これまで座ったどの椅子よりも身体が深く沈んだ。一瞬、溺れそうになった若菜は慌てて立ち上がる。眉を寄せ、今度は慎重に座りなおした。
 これから本当に厚志に会えるのだと、今更ながらに心臓が早鐘を打ち始めた。会えたらまず何を言おう、と考える。
「若菜ちゃん。今夜の泊まりはどこ?」
「え?」
 しばらく沈黙が落ち続け、自分の考えに没頭していた若菜は振り返った。いつの間にか純一は煙草をつけて、机に頬杖をついていた。
「この辺りはオフィス街だから、駅を越えないとホテルもないよ。知ってる?」
「あ……」
「さすがにこの辺はホームレスも少ないけど、それでもいないわけじゃないしね。暴走族上がりの厄介な奴もいるらしいし、戻るときは気をつけな」
 若菜は片眉を上げて顔をしかめた。泊まるところなど考えていなかった。もし宿を取れなくても、東京ならば24時間営業のところも多いだろうと軽く考えていた。確実に身体を壊しそうな環境だが、ほんの数日ならば耐えられるだろう。子どもの頃は公園の土管で夜明かしした経験もある。
「特に考えてない」
 余計なことは言わず、若菜は淡々と返した。
「ほら」
「うわ」
 純一は机の引き出しから卵大の何かを取り出して若菜に投げた。
 突然のことでつかみ損ねる。
 それは腕に当たった瞬間、壊れて中身が飛び出した。
「何?」
「宿泊券。公園で野宿なんてされたら由紀子さんに申し訳ないだろ」
 ヒラヒラと足元に落ちたのはプリペイドカードだった。
 シンプルな銀色のカード。右端に小さく純一のサインと電話番号が印刷してあるだけで、他には何も書かれていなかった。どこで使えるのか見当もつかない。
「東京都内だったら、大抵はどこの施設でも使えるようになってる。限度数は3回だ」
 純一はパソコンに視線を戻して答えた。
 若菜は視線をカードに戻す。裏返してみても、銀色のカードは若菜の顔を映すだけだった。
「……お気遣いどうも」
「絶対に使えよ」
 そこまで由紀子に怒られるのが怖いのか、と若菜は呆れてしまう。念を押され、眉を寄せながらも素直に「はい」と頷いた。使えるものなら何でも使う。
 それからしばらく、時計の秒針だけが静寂を刻み続けた。気付けば夜の8時だ。新幹線で仮眠したものの、再び眠くなってきた。若菜は欠伸を噛み殺す。待ち続けているのも苦痛になってきた。
 せっかく純一に許可を取ったのだから、会社の見学がてら厚志を捜しに行った方が早いのではないかと、ようやくそこに考えが至って顔をしかめた。なぜもっと早く気付かなかったのか。
 若菜が腰を上げようとしたが、先に沈黙を破ったのは純一だった。
 彼は椅子に思い切り仰け反って伸びをすると首を回す。ガタンと勢い良く机の引き出しを開けると、何かの操作をする。
 黙ったまま彼の行動を見つめていた若菜は、瞳を瞬かせた。純一が見上げる。椅子に座ったまま体を反転させ、棚を開ける。仕事に使うものが山と詰め込まれているのだろうなと思った若菜だが、棚が開かれた瞬間、頬を引き攣らせた。そこにはお菓子が山積みとなっていた。
「そろそろ腹が空く頃だろう。お茶もお菓子も、普段自分で用意してないと忘れるな」
 純一は独り言のように笑ってザルを用意した。お菓子の大きなパックを引き破ると、中身をザルにあける。三袋ほど空けると、ザルは山盛りになった。零れ落ちそうだ。純一はそのままザルを若菜の前に置く。
「どうぞ。うまいぞ」
 若菜が手をつけるよりも先に、鷲掴みにした純一は若菜と対面になるよう座ってお菓子を頬ばった。
「……どうも」
 ひとまず礼だけは告げて軽く頭を下げる。感情は篭っていないが純一には関係ない。言われてみれば確かに空腹だったが、とても食べる気にはなれない。
 軽い眠気が襲ってきて、強い瞬きを何度か繰り返したときだ。
 扉が開いた。
「やっと来たな」
 純一が顔を上げて笑い、腰を上げる。それを追うように若菜もゆっくりと視線を巡らせて振り返る。社長室と受付室を遮る扉を開け放したままで、そこに厚志が立っていた。
 約一ヶ月ぶりに見る姿だ。
 驚きも喜びもなく、厚志はただ立ち尽くして若菜を見た。
 そんな視線を向けられただけで若菜は、世界から二人だけが切り離されたような錯覚に陥った。誰もいない、何も聞こえない。一瞬が永遠に感じられる。
 若菜は視線を合わせたまま静かに立ち上がった。
「追いかけてきた」
 純一がいることも忘れていた。激情に流されることもなく、努めて平静を保つこともなく、ごく自然に出てきた言葉だ。そんな自分に満足して若菜は少しだけ微笑む。
「何か言ってよ」
 ようやく、何かの呪縛から逃れたように厚志が瞬きをした。微かに唇が開かれたが何も零れない。それでも黙って言葉を待つ若菜に、厚志の視線が突き刺さる。唐突に、彼の瞳が険しくなった。若菜の笑みが消える。
 厚志は持っていたファイルに視線を落とした。たっぷり三秒はそれを見つめてから視線を若菜に戻す。先ほどまでの無表情さは消えていた。明らかに怒っている雰囲気だ。それは隠されることなく若菜を捉える。
 若菜は少しだけ力を入れて奥歯を噛み締めた。顎を引く。
「迷惑だ」
 たった一言。
 厚志はその一言にすべてを含めて切り捨てた。
 これまで何度も、人から言われてきた言葉。もう慣れてしまった。例えば先生、例えばクラスメイト、ある時には友人からも、ふざけて使われた言葉。ありふれた言葉だが、その言葉が持つ力はこんなにも強かったのだと、若菜は立ち尽くしたまま初めて知った。
 とても悲しかった。泣きたくなる。感情が頬を濡らすことはなくても、絶望が目の前を染め替えていく。先ほどまで大樹を見て高揚していた気分が奈落に落とされた気分だ。すべてが灰色に褪せた。
 若菜は唇を微かに震わせて視線を足元に落とした。
 これまで散々拒否してきたのだ。受け入れて貰おうなどと虫が良すぎる。拒否されることも予想の範囲内にあり、覚悟もしてきた。けれど、いざこうして投げつけられると体が動かなかった。所詮はただ頭で理解しようとしていただけなのだと思い知る。自嘲が浮かぶ。
 若菜が立ち尽くしていると、厚志は不機嫌な表情のまま部屋に入ってきた。
 床に視線を落とす若菜を一瞥することもなく通り過ぎる。若菜の傍を冷たい風がよぎっていく。
「ほらよ、今回のプレゼンだ。文句ねぇだろ」
 若菜の後ろに控えていた純一の胸に、厚志は分厚いファイルを押し付けた。
「それは中身を見てからの判断だ」
「先にメール添付してただろ。変わらねぇよ」
「どんな環境で見るかによって印象はさまざまだ。本当に成功させたいなら細かいところも気を抜くな。こだわり続けろ」
 受け取った純一はファイルの表紙を開いただけでそれを閉じ、机の上に置いた。挙動を見ていた厚志は鼻を鳴らせる。
「俺は帰るからな」
「ほう。今日こそ家に帰るのか。これまでどこで傷心癒してるのかと思っていたのに」
「ふざけろよ、何が傷心だ。てめぇが無理を押し付けるから帰れなくなるくらい忙しかったんじゃねぇか」
 振り返ることもできない若菜の背中でそんな会話が交わされる。
 やがて厚志が再び傍を通り抜けた。その手にはまた別のファイルがある。
 部屋を出て行こうとする厚志にかける言葉はなく、若菜はもどかしい想いでその背中を見つめた。これまで言葉は色々と考えてきたはずなのに、今は何も浮かんでこなかった。恨めしい。
 ここでようやく純一が助け舟らしきものを差し出した。
「若菜ちゃんには何もなしか?」
 部屋を出かけていた厚志が足を止めた。顔だけ振り返り、若菜をと視線が合う。その表情は先ほどから変わらない。
「迷惑だって言っただろ」
 同じ言葉が投げられた。
 若菜は胸を震わせる。もうその言葉は聞きたくない。口を開いて「もういい」と言おうとしたが、背後から伸ばされた腕によって、その機会は失われた。
「わっ?」
 純一に抱きしめられていた。
 厚志の眉が寄せられ、体ごと振り返る。
「お前がそのつもりなら、俺が嫁に貰っても問題ないよな」
「はぁっ?」
 若菜と厚志、同時に同じ反応。
「由紀子さんは手に入らなくても、若菜ちゃんは今フリーだろ?」
 若菜は肩を強く抱かれて顔をしかめた。首筋に純一の吐息がかかる。冗談じゃない、と振り返って怒鳴りたかった。しかし純一の顔が間近にあるため振り返ることもできない。両肩を怒らせて強引に振り解こうとしたが、どんな力をしているのか振り解けない。
「厚志の母親になるってわけだ。嫌ってても、顔さえ合わせなきゃいいだろ」
「ふざけ」
 我慢が限界に達した若菜は怒鳴りつけようとしたが、それよりも先に、視界をよぎった青い塊に息を呑んだ。塊は純一に避けられ、壁に激突して音を立てる。それは厚志が先ほど持っていたファイルだった。
 あぜんとした若菜は純一の力が緩み、別の力によって引き寄せられた。気付けば厚志が険しい顔で近くにおり、純一を強引に振り解いていた。
「冗談もそこまでにしておけよな」
 これまで聞いたこともないような怒りの声は低かった。
 腕を取られた若菜はその痛みに顔をしかめた。ぐいと引かれ、まるで庇われるように後ろ手に回される。
「俺としちゃ冗談じゃなく本気なんだがな」
「余計にたち悪ぃんだよ! お前なんか一生独身でいろ!」
 かすかに純一が顔をしかめたが、次には再び笑顔となる。
「俺が誰と再婚しようが自由だろ」
「なら若菜以外にしておけ!」
「熱いねぇ。若菜ちゃんは渡さないって? 自分で振っておいて」
 純一がやれやれと肩を竦めると、厚志は歯軋りして睨みつける。
「お前にだけは何が何でも渡さねぇ」
 若菜はその言葉に泣きたくなった。今の言葉は純一に対する反抗から生まれた言葉だ。厚志の本心から出た言葉ではあろうが、本当に若菜が欲しいわけではない。ますます溝が深まるばかりだ。きっともう終わってしまったのだ、と瞳が熱くなる。
 俯いた若菜は唐突に腕を引かれてたたらを踏んだ。けれどそのまま引きずられ、部屋から出ようとすると厚志に連れて行かれるような形で足早となった。振り返った若菜は眉を寄せる。純一は同じ位置から動かない。話は終わったのだろうか。
 純一は最後まで厚志を見送ることなく背中を向け、机に戻る。その途中、厚志が投げつけたファイルを拾い――そこで扉が閉められ、若菜の視界から純一が消えた。
 厚志は一言も喋らないまま歩いていく。若菜の腕をつかんだまま、結構な早足だ。そのままエレベーターに乗り込まれ、ようやく若菜は腕を解放された。呼吸が上手くできなくて息苦しい。
 沈黙が下りる。大きな樹を眺めながら二人の会話は生まれない。
 若菜は徐々に怒りが湧いてきた。
 勇気を振り絞ってようやくここまで来てみれば、純一は勝手なことを言って引っ掻き回し、厚志は聞く耳持たずに怒るだけ。用意してきた数々の言葉はあっけなく拒否され、心の奥底に沈んでしまった。再びそれを拾い上げるだけの勇気はない。
「いつ向こうに帰るんだよ」
 開口一番の言葉に若菜は苛立ち、顔つきを険しくする。厚志を振り返らず、ただ大樹を睨みつける。
「もう厚志には関係ないでしょ。おじさんからホテルのタダ券も貰ったし、好きなだけ昔の街を堪能してくる」
「さっさと帰れよ」
「命令に従う義務はない」
 最悪だ。口を開けば開くだけ険悪ムードに拍車がかかる。それを止めようとも思わないのだから、尚更だ。
 元々悪かった厚志の機嫌は更に悪化する。
 ポーンと低い音がしてエレベーターが到着を告げる。
 若菜は腕時計を確認した。既に夜の9時を回っている。今からホテルを探して間に合うだろうか。せっかく貰ったカードも無駄になるかもしれない。
 厚志が先にエレベーターを降り、若菜もそれに続く。センサーが察知して廊下が明るくなる。このような時間まで残業している社員はさすがにいないらしい。
 厚志の足が止まり、若菜を振り返った。
「なによ。まだ何か言い足りないわけ?」
「……可愛くねぇ奴」
「誰がお前のために可愛くなんてなってやるか」
 しばらく睨みあう。告白しに来たはずなのに、なぜ喧嘩になったのか、自分でも分からない。売り言葉に買い言葉で勢いは止まらないらしい。若菜は内心で自嘲する。やはり自分にとって男は鬼門らしいと悟る。金輪際、縁を結ぶことはないだろう。
 若菜は視線を後ろに戻した。そこには大樹がある。外気が入り込まないおかげで呼吸がしやすい。胸の奥につっかえる言葉も、その大樹を見るとなぜだかすんなりと出てきそうな気がした。
 同じ会社に勤めてはいても、勤務地が違えば接点がない。若菜が戻れば、二度と会えないだろう。その別れを、喧嘩で終わらせてもいいのか。本当に後悔しないのか。
 1階の廊下からは苔生した幹しか見えないが、大きなその存在に背中を押されるようにして若菜は一歩踏み出した。深呼吸する。自分なりに勇気をつけて厚志を見上げる。
 最後の今だけ、素直になろうと思った、その瞬間。
 まるで若菜の勇気を挫くように携帯の着信音が鳴り響いた。厚志の携帯だ。
「もしもし」
 厚志は一瞬だけ若菜を気遣うように見た。しかしそれだけで、若菜に背中を向けると電話に出る。
 ――仕方がない。厚志は忙しい身だ。急用で仕事の電話が入ることもあるだろう。
 そう思って若菜はため息をつく。一度挫かれた勢いを取り戻すのは容易ではないが、厚志の電話が終わるまで待とうと思った。
 けれど。
 若菜に背中を向けていた厚志が、なぜか若菜を一瞥する。
 その視線に若菜は眉を寄せた。意識も自然と携帯へ向かう。どうやら相手は喚いているらしい。静かな廊下に、微かに響く。しかし、相手が女性だと分かっただけで、何を言っているのかまでは聞き取れない。
 厚志があいまいに頷くのを面白くない気分で見守る。
「いや。それは麻衣子が引き受けてた部分だろ」
 困ったように厚志が答える。その洩らされた名前に若菜は息を呑んだ。胸が苦しくなる。電話の相手は、厚志の婚約者として発表された『佐藤麻衣子』なのだろうか。
 何を言われたのか、厚志は深いため息をついた。半ば投げやりな態度で頷く。
「じゃあ今夜はお前のところに泊まるから。泣くな」
 電話向こうから洩れていた声が明るくなった。裏腹に、若菜は目の前が暗くなった。勇気が無残に打ち砕かれたような気がした。厚志が他人を労わることもあるんだ、と妙なところで可笑しく思う。歪な笑みが浮かぶ。
 若菜は固く目を瞑り、細い息を吐き出した。鞄から、とある物を取り出して顔を上げる。
 最後のために用意してきた物だ。
 若菜はまだ話をしている厚志の前に回りこんだ。厚志の表情が不機嫌に歪む。それでも若菜は気にしない。これ以上待つつもりはない。用意していた物を押し付けた。
 それは、新しく作った通帳だ。由紀子が厚志から借金していた金額を入れてある。契約書には利子をつけないと記載されていたため、入っているのは元金だけだ。
 若菜は通帳を広げて金額を確認させた。
「返済完了」
 厚志が眉を寄せた。
「――バイバイ」
 言葉がつっかえて上手く別れの言葉も言えない。他にも何か色々言おうと思っていたのに、出てきたのはそれだけで、若菜は零れそうに潤む瞳を瞑った。笑顔に変えて告げた。
 厚志が顎を引いてその言葉を受け取る。携帯を少し外し、若菜を見つめる。
 若菜は素早く踵を返す。
 玄関までの道順は分からないが、大樹から離れるように歩けば外に出るだろうと足早に歩く。
 案の定、エレベーターの通りを直進しただけで会社の入口に出た。大きなエントランスだ。天井は3階まで吹き抜けになっている。
 若菜はそこで振り返った。少し遠くにはまだ厚志がいる。先ほどの場所から動いていないようだ。ここを離れればもう会うことはない。これで見納め。
 軽く唇を噛み締めた。ここからならもう涙も見えないだろうと一筋を零す。拭う素振りなど見せない。言えなかった言葉を、遠く離れたこの場所から。
「やっと好きだって気づいたのに……! 一回振られたぐらいで諦めるなよ!」
 叫んだことで感情が昂ぶり、涙が幾つも零れ落ちる。今日ほど悲しく惨めな日はないと思う。
「二度と私に会いに来るな!」
 厚志の反応を見ることもなく走り出す。言い逃げた。会社のエントランスを抜け、玄関の回転扉に手をかける。業務時間が終わって久しいこの時間では鍵がかかっているかもしれないと案じたが、若菜が体全体で押すと静かに回った。わずかな隙間から外へ出る。
 会社から出て、石畳に足をつけた途端。
 大通りまで続く舗道のパネルは、若菜の重みで翠の光を弾けさせた。


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